主な所見

  • このプロパガンダ活動は周到に計画され、アカウントの大半は始動の何カ月も前に登録されていました。2016 年米国大統領選よりだいぶ以前からで、アカウントの作成日から最初のツイートまでの平均日数は 177 日でした。
  • メインアカウントの中心は、新しいコンテンツをツイートするグループでした。各地の報道機関や政党に偽装して、「フェイクニュース」を流す役割をはたしています。
  • それより数の多いサポートアカウントは、メインアカウントがツイートしたメッセージを増幅する役割を担っていました。たいていは個人に偽装しています。
  • 目標を達成するために、プロパガンダは保守派とリベラル派の双方に向けられていました。なかでも標的になったのは両陣営の浮動層です。
  • ほとんどのアカウントは自動化されていましたが、最初のツイートを投稿する、少しずつ言葉を換えて再ツイートするといった手動の操作が確認されるケースも少なくありませんでした。正規のアカウントであるように見せかけ、削除されるリスクを回避する目的と考えられます。メインアカウントは、各種サービスを利用してブログ活動を監視しながら新しいブログ記事を自動的に Twitter にツイートするよう設定され、サポートアカウントは、メインアカウントによるツイートをリツイートするように設定されていました。
  • リツイート回数が最も多かったアカウントは、600 万回以上のリツイートを稼ぎ出しています。そのうち、データセットで見つかった他のアカウントによるリツイートはごく一部(1,80)にすぎません。リツイートの大部分は正規の Twitter ユーザーによるものだったということです。

2016 年の米国大統領選に向けた選挙運動では、ソーシャルメディア活動を利用して不正に世論を操作しようとした試みが大きな問題になりました。米国の有権者に対して巧妙なプロパガンダ活動がしかけられていたことが、選挙の終了から数カ月後に、にわかに明るみに出たのです。

当然ながら、このプロパガンダは広く社会の関心を集め、ソーシャルメディア各社は自社のサービスが悪用されていなかったかどうか、すぐさま調査に乗り出しました。2018 年 月には Twitter 社が、 Research Agency(IRA)によって Twitter 上に投稿されていたコンテンツについて、大量のデータセットを公開しました。IRA は、米国に対する大規模なプロパガンダ活動に関与していたロシアの企業です。

データセットの内容は、3,836 個の Twitter アカウントと 1,000 万近いツイートです。それらのアカウントが、およそ 640 万のフォロワーを集め、320 万のアカウントをフォローしていました。データ量だけでも膨大で、275 GB を上回っています。

このアーカイブは、IRA のプロパガンダ活動がどのように行われたかを示す貴重な情報の宝庫であることが判明します。たとえば、この情報が公開されるまで、ツイートの矛先は政治的な陣営のどちらか一方に集中しているものと誰もが考えていました。ところが、データが公開されたとたんに明らかになったのは意外な事実でした。目標達成のために、プロパガンダは米国におけるリベラル派と保守派の双方に向けられていたのです。なかでも標的になったのは両陣営の浮動層で、プロパガンダの主な狙いはむしろ、議論を焚きつけて双方に反目の種をまくことにあったのではないかと見られています。しかも、これはオンラインの世界に限ったことではありませんでした。アカウントの一部は、全国で政治集会を組織する際にも使われており、データで見つかったなかで特に影響力の大きいアカウントは、そうした集会を多くの聴衆に宣伝するために使われていました。

それだけではありません。このデータからは、その内容や対象にとどまらず、もっと多くの情報が得られると考えたシマンテックは、アーカイブを徹底的に分析し、このプロパガンダ活動の展開についてさらに多くを知ることになりました。これは、大統領選という政治情勢に合わせた一時的な動きではなく、周到に計画・整備された活動であり、その準備は何カ月も前から進められていたという証拠が見つかったのです。

実際に用いられる戦術は時とともに変化していますが、活動の基本的なひな形は変わっていません。少数の中心的なアカウントを使って新しいツイートを投稿し、自動化された大量のアカウントがそのツイートを強化するというパターンです。

調査の過程で、興味を引く情報がほかにも見つかりました。リンク短縮の営利サービスを使う不正な業者が、副業として利益を上げていたらしいことなどです。

アカウントの種類

データの分析を始めると、アカウントは大きく 2 つのグループに分類できることがわかり、シマンテックはそれぞれをメインアカウント、サポートアカウントと呼ぶことにしました。グループによって性質が異なり、役割も違っています。

メインアカウントは、フォロワーが 1 万以上いますが、フォローしているアカウントはわりと少数です。主として、新しいツイートの投稿に使われています。

サポートアカウントは、フォロワーこそ 1 万に届きませんが、たいていはそれより多くのアカウントをフォローしています。主な目的は、他のアカウントのツイートをリツイートすることですが、自らオリジナルのメッセージをツイートすることもあります。予想されるとおり、大多数のアカウントはサポートアカウントです。シマンテックがデータセットで確認したのは、メインアカウントが 123、サポートアカウントが 3,713 でした。

メインアカウントはおおむね、各地の報道機関や政党に偽装したり、「ハッシュタグゲーム」を利用したりして、「フェイクニュース」を流す役割をはたします。ハッシュタグゲームとは、1 つのテーマについて逸話やジョークを披露し合う、たとえば #5WordsToRuinADate のようなハッシュタグの使い方です。作成日から考えると、ほとんどのメインアカウントは別々に、または少しずつまとめて作成されています。アカウントで使うデフォルトの言語として選択されるのは、いつも英語かロシア語です。

サポートアカウントは個人を装うことが多く、メインアカウントが投稿したツイートをリツイートして拡散します。たいていは一括して作成され、同じ日に百単位のサポートアカウントが作られることもありました。たとえば、2014 年の 5 月には、IRA によって 7 つのメインアカウントと、514 のサポートアカウントが作成されています。

アカウントの多くは、使い始めるよりかなり前に作成されています。作成日から最初のツイートまでの平均日数は 177 日、アカウントがアクティブに存続する長さは平均で 4 日でした。





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